ウィルコの元メンバーだったジェイ・ベネットが亡くなったという報せが入ったのは5月24日のこと。しかし、そのニュースでも、分かっているのは睡眠中の死亡ということくらいで、その後、詳しい死因についてのニュースは見つけられていませんが、今年に入ってからジェフ・トゥイーディー(ウィルコのフロントマン)に対して、ウィルコ在籍時の著作権料支払いを請求する訴訟を起こしていたことや、健康保険に加入しておらず、長く患っていた腰の手術費用に困っていたことなど、いくつかの情報が彼の最近の窮状を伝えています。もちろん、彼のマイスペース上では、新作アルバムのフリー・ダウンロードがリンクされていて、彼が元気に音楽制作に励んでいたことも事実です。とはいえ……。そういえば、ウィルコのドキュメンタリー『ウィルコ・フィルム(I am Trying to Break Your Heart)』にも、ジェフとジェイの確執の様子は赤裸々に写し出されていて、バンドを抜けたジェイ・ベネットが、決して多いとはいえない観客の前で演奏しているシーンが出てきたのではなかったっけ。もちろん人生いろいろですが、堂々とバンド名を冠したアルバム『ウィルコ』の発売が華々しく告知されるのとは対照的に、ひっそり息を引き取ったジェイ・ベネット。ウィルコのオフィシャル・サイトのトップ・ページにあったジェイ・ベネット哀悼のメッセージは、現在、アルバムの予約受付に変わっています。享年45歳、『Summerteeth』までのグループにとって、彼のポップ・センスは必要不可欠なものだっただけに胸が痛みます。
また、同じくJを頭文字に持つシンガー・ソングライター、ジェフ・ハンソンが6月5日、米ミネソタ州セントポールの自宅内で事故死するという悲報も入ってきています。享年31歳、所属レーベル、キル・ロック・スターズにあっては、デモ・テープがきっかけでデビューを果たした唯一のアーティストでもありました。つまり、それだけ彼の歌声と音楽は突出していた、ということでしょう。心より、ご冥福をお祈りします。