イ・ランと「ヨンヨンスン」と「神様ごっこ」へのコメント

イ・ランと、9月15日にリリースする『ヨンヨンスン』と『神様ごっこ』について、たくさんの方からコメントをいただきました。こちらのコメントは『神様ごっこ』の特典冊子「イ・ランのこと」にも掲載しましたが、こちらでもあらためてご紹介しようと思います。急なお願いだったにもかかわらず快く引き受けていただいた皆様には感謝の言葉しかありません。そして、これらのあたたかいコメントがあなたとイ・ランを結びつける一助になることを願っています。順番はお名前の五十音順です。どうぞ。

 境界線を超えてゆこうとする人の姿は、どうしてこんなにも心を揺さぶるのだろう? ただ此処にいる自分があやふやすぎて、書くことや歌うことでしか、世界と自分を繋ぎとめられない人にとって、その暗闇を覗きみることと楽しく生きること、誰かと繋がってゆくことは矛盾しないはずなのに。うまくゆかずにすれ違ってしまう現実。人間関係、家族、大人になること、仕事、孤独、死……。イ・ランは日常の中で浮かび上がる、さまざまな感情をつぶさに見つめ、音楽や文章へ紡ぎ出す。その言葉はときに赤裸々で痛々しくもあるが、同時に人懐っこいユーモアにあふれ、それに触れた人の心をむき出しにしてしまう生命力にあふれている。
此処ではない「何処か」、今の私ではない「私」、誰も見たことのない「真実」に到達したいと願うことは、神の領域に踏み込むことなのかもしれない。これは、神様になろうとした女の子の罪と赦しの物語(グレート・ジャーニー)。そのB.G.M.がこんなにも美しいことは、私にとって救いであり希望そのものだ。 /井口啓子(ライター、Super!)
 韓国インディー・シーンきっての才女、イ・ラン。型破りの才能の片鱗を窺わせたファースト・アルバム『ヨンヨンスン』、自由奔放に自身の歌世界を展開してみせたニュー・アルバム『神様ごっこ』。微笑とため息と独り言が混ざり合ったような歌の数々にひとたび触れれば、異才たちが集う韓国インディー・シーンにおいて彼女がなぜ「特別」な存在であり続けてきたか分かるはず。やさしくて、飾りっ気がなくて、少しだけ怖さを感じさせる歌だと思う。 /大石始(ライター)
 クールでユーモアのある女の子。先に彼女のイラストやコミックを知った私が初めて(映像でなく)ライブを見たのは桜台pool、ジンスタギャザリングの日でした。「良い知らせ 悪い知らせ」を日本語の歌詞で唄い、それを聞いた私は、カート・ヴォネガットが大好きということもあるかもしれないけれど、この場にいて幸せ!と思いました。イ・ランの唄っていること、書いていること、その言葉はいい、ほんとうにいい、と思います。 /大林えり子(ブックギャラリーポポタム
 現実と想像のあいだを、声とギターが揺れ動く。韓国にもモルディ・ピーチズやミランダ・ジュライに通じる感性の持ち主がいることを、『ヨンヨンスン』は教えてくれた。そして、『神様ごっこ』は、映画よりも映画的で、小説よりも物語的で、ユーモアと感傷に満ちた一枚だ。以前よりもクラシカルになった演奏に乗せて、イ・ランは葛藤を歌にしながら、ハハハ、ヒヒヒと、ひねくれた笑みをやさしく浮かべている。わかりやすさを求める世の中にそっぽを向けて、こんなアルバムを待ち望んでいた方も少なくないはずだ。 /小熊俊哉Mikiki
 ソウルで、東京で、会って遊ぶといつもとてもよいフィーリングをくれる。ランちゃんが放ってる熱や光にはなんだか頼もしい気分にさせてもらえる。心から正直な彼女のことばには人を引っ張る力がある。しなやかで強い人。また遊ぼう。 /北里彰久(Alfred Beach Sandal
 生き方自体が類稀なる才能。勤勉さを持ってして聡明。子ども顔負けの純粋さ。どこまでも広がる自由。大人になると、みんな蓋をしてしまうことにも、イ・ランは勇敢に開けたまんまです。イ・ランの世界の見方や、歌と曲が、儚くも美し過ぎます。触れると「はっ」となり、生きるアイデアとなります。 /黒岡まさひろホライズン山下宅配便
 気取らない、自然体の彼女が好きだ。テクノロジーが発達し、音楽の聴き方も多様化しながら、私たちはきっと口ずさめるシンプルなメロディーを求めている。好きな人に想いを馳せながら窓の外を眺める、電車の中で文庫本を読んでいるときにふと思いがけない風景に心奪われる、眠りにつく瞬間ふと幼い頃の母との記憶が頭に浮かぶ、そんなシチュエーションのときにブランケットのような柔らかさを持ったイ・ランさんの歌があれば完璧だと思う。私はそれに包まって、心の平穏を取り戻していく。 /多屋澄礼(Violet And Claire
 美しすぎて言葉を失う。前作ヨンヨンスン以上の傑作!  /チャーミー(Transceiver Records
 個人的にミュージシャンのお手伝いで、彼らのライブについてまわったことがある。主にライブ会場に行ってリハーサルを一緒に進め、ライブが無事に進行するのを見届けて家に帰るのだ。そうやって一緒に仕事をしてきたイ・ランのセカンド・アルバムを聴きながら、こんな考えが頭に浮かんだ。シンガー・ソングライターが自分の歌を何度も繰り返し歌うとき、どんな気持ちで歌うのだろう? ずっと同じ気持ちのまま歌い続けるのだろうか、それとも最初の気持ちを忘れてしまうのだろうか、あるいは、よりよい気持ちで歌えるようになるのだろうか? 自分のことを歌ってきたイ・ランの場合は、3番目の場合が多いだろうと思った。どんな選択においても明らかに引き返すことのできない道があるがゆえに、イ・ランのセカンド・アルバムは『ヨンヨンスン』と同じであるはずがないだろう。あなたもそう感じるだろうが、イ・ランのセカンド・アルバムには前作とは明らかに違う話が収められている。明るい作品とは決して言えないが、折に触れて覗き込んでしまうほかないこのアルバムを聴いていると、曲を書いて歌うイ・ランの(カバー写真にもある)いまの姿を眺めているようだ。いろんな面で不思議なアルバムだ。 /パク・ダハム(ヘリコプター・レコーズ
 今から数か月前のこと、いつも遊んでいる友達夫婦と元バンド・メイトのなみちゃんとソウルに久しぶりに遊びに行った。その時にしばらく会う機会がなかったランちゃんと久しぶりに会って、お互い会わなかった間の話、今の話を短い時間に語りあった。会わなかっただけで同じボートに乗っていたんだね、という感覚と確信が押し寄せてきて、とても懐かしく、何が起こっていても、今の彼女が高速スピードで輝きを増していることを嬉しく思った。
 『神様ごっこ』を聞いて、エッセイも読んで、彼女の作品を通して自分自身をもう一度見つめる時間を持てた。自分の中にも驚くほど同じような問題や喜び、恐れなどを見出して、頭の中が整理されていくようだった。個人的にもとても大切な作品に出会えたことを嬉しく思いながら、ランちゃんの進化しつつ相変わらずまっすぐな歌がより深い深いところに届いて、これが人生の深みなのかなと思っています。『ヨンヨンスン』を再び日本盤として聞けるのも嬉しい! また日本でライブが見れる日も近いかな? そのとき、きっと私はまた笑顔に涙を浮かべるでしょう。 /藤沢千史

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