アーティスト:イ・ラン(이랑)
タイトル:患難の世代(환란의 세대)
カタログ番号:SDDS-001
発売日:2020年6月20日
デジタル販売プラットフォーム:bandcamp、Minna Kikeru、iTunes Store、Amazon Music
ストリーミング視聴サービス:Apple Music、Spotify、bandcamp、Minna Kikeru、iTunes Store、Amazon Music、SoundCloud
収録曲数:2曲
Track 1:患難の世代|The Generation of Tribulation (feat. Unnie Choir)
Track 2:患難の世代|The Generation of Tribulation (Manami Kakudo Version)
価格:300円(2曲)
この「患難の世代」は、もともとはホライズン山下宅配便の黒岡まさひろと仲原達彦が毎回ゲストを招き、観客の前で新曲を制作して発表するという内容で都内で開催していたシリーズ・イベント「新曲の部屋」を、イ・ランとパク・ダハム(ヘリコプター・レコーズ)が受け継いで開催したソウル版「新曲の部屋」の最終回でつくられた曲でした。当初のバージョンは、これまでに限定リリースされた『新曲の部屋』コンピレーション(現在は廃盤)などで聴くことができましたが、制作から5年弱が経ってもなお本曲に込められた疑問やメッセージが有効で切実だったことは、その後ずっとイ・ランの重要なレパートリーの1曲としてステージで演奏され続け、また、現在制作中のニュー・アルバムのタイトル曲になっていることからも明らかでしょう。
2020年に入り、新型コロナウイルス禍のため、イ・ランやそのメンバーたちが暮らす韓国もここ日本も、日常の多くが変化し、さまざまな時間が止まってしまいました。その中にあっても、時計の針を少しでも進めるため、そしてニュー・アルバム『患難の世代』の制作を続けるため、まずはアルバムのタイトル・トラックを2バージョン先行リリースします(デジタルのみ)。
韓国のカルチュラル・フェミニスト団体「Unninetwork」の一員として性の多様性とフェミニズムを支援する合唱団、オンニ・クワイア(Unnie Choir)の生命力あふれた歌声をバックに、イ・ランのバック・バンドのメンバーとしておなじみのイ・ヘジ(チェロ)、キム・ヨンフン(ドラムス)、そして現在兵役に服しているイ・ジョンウに代わる新ベーシスト、メ・ジウク、さらには兵役の休暇を使ってイ・ジョンウが弾くエレクトリック・ギターを加えた「The Generation of Tribulation (feat. Unnie Choir)」のパワフルなアンサンブル。
そして、ニュー・アルバムにも参加を予定している東京のマルチ・ミュージシャン、角銅真実がプロデュースとアレンジを手がけた「The Generation of Tribulation (Manami Kakudo Version)」は、一転、トイポップにも通じるカラフルでインティメイトな音色がシリアスなイ・ランの歌詞世界とは対照的に背景を横切り、いくつものシーンを縫って、このふたりでしかつくり上げられなかっただろう夢のような陰影と聴後感をリスナーに投げかけます。
また、音楽と同時に映像作家としても知られるイ・ランのこと、今回も特別なミュージック・ビデオを用意しました。宮城県在住の写真家、志賀理江子の作品「Blind Date」からの映像(未発表)との共作がそれで、今回は、後部座席から手を伸ばし、運転手の目を隠して疾駆していくスクーターを追いかけた印象的なモノクロ・フィルムに「患難の世代」が乗ります。さらにはコンセプチュアルなジャケット画像~アーティスト写真にいたるまで、今回のリリースに掛けるイ・ランの意気込みを端々から感じていただけるでしょう。
全てが過ぎ去った後に
ようやく君は腹を立てるのかい
全てが過ぎ去った後に
ようやく君は悲しく泣くのかい
同じひとつの曲ですが、イ・ランの問いかけに多方向から光を投げかける充実した2バージョンを、ぜひ2020年の今お聴きください。どちらのバージョンからも、窓の内側と外側をつなぐ秘密の抜け穴を見つけられるはずです。
イ・ラン(이랑):韓国ソウル生まれのマルチ・アーティスト。2012年にファースト・アルバム『ヨンヨンスン』を、2016年に第14回韓国大衆音楽賞最優秀フォーク楽曲賞を受賞したセカンド・アルバム『神様ごっこ』をリリースして大きな注目を浴びる。2019年には柴田聡子との共作盤『ランナウェイ』とライブ・アルバム『クロミョン~ Lang Lee Live in Tokyo 2018 ~』を発表。さらに、2018年にはエッセイ集『悲しくてかっこいい人』を、2019年にはコミック『私が30代になった』を本邦でも上梓。その真摯で嘘のない発言やフレンドリーな姿勢、思考、行動が韓日両国でセンセーションとシンパシーを生んでいる。