Help Geneviève Elverum

 このスウィート・ドリームス・プレスのブログは2007年8月28日にはじまりました。その日、僕は3つ記事をアップしていたようです。ひとつ目の記事は、このブログを開設しましたよという簡単な挨拶。そして残りふたつはジュヌヴィエーヴ・カストレイという、カナダのケベック出身のコミック作家/シンガー・ソングライターの個展にまつわることでした。具体的には、その年の9月に目白のブックギャラリー・ポポタムで開催するジュヌヴィエーヴ・カストレイの「仮面」展にあわせて、彼女から届いた物販のお知らせでした。ひとつはTシャツ、もうひとつは各種レコードの紹介です。

 さらに、スウィート・ドリームス・プレスで最初にリリースしたものはジュヌヴィエーヴ・カストレイのポストカード・セットと、上記した「仮面」展のカタログ代わりの小冊子でした。どちらもその後売り切れてしまい、今、手元には在庫がありません。

 彼女の展示を手伝ったのはそれが二度目のことで、一度目は前年、彼女が初めて日本に来たときのことでした。壁に細いピンを差して、いちばん小さなダブルクリップで原画の上を2か所挟み、クリップの金属の輪っかをピンに引っ掛ける。そんな簡便で気の利いた展示方法に、さすがに手慣れたものだなぁと感心したことを今でも覚えています。そうして、その後に発行をはじめた『スウィート・ドリームス』誌のほうにもレギュラー寄稿家のひとりとして彼女には協力してもらい、ページ数こそ少ないものでしたが、彼女の繊細な筆致やそこはかとなくにじんでくるパンク精神、小さくてくるくると丸く連なる独特の書き文字、もちろん展示の際に披露してくれた率直な歌と演奏を僕らは毎回楽しみにしていました。その後、スウィート・ドリームス・プレスでお手伝いをした個展は「魔法使い」(2010年)、「解除と奔放」(2012年)、「HIVERS〜冬」(2013年)の3回、最初の「Sang Jeune」(2006年)を含めると彼女の展示は実に5回も開催することになりました。彼女は、だから僕らにとってはかけがえのない友人なのです。

 実は昨年の春から彼女はすいぞう癌と闘っています。今まではごく限られた友人だけ、そのことを知らされていましたが、今日、彼女のパートナーのフィル・エルヴラム(マウント・イアリ)が、下記リンク先に募金サイトを立ち上げました。ジュヌヴィエーヴと彼女の家族をお助けください。募金はもちろんですが、情報の拡散だけでもご協力いただけると助かります。彼女はスウィート・ドリームス・プレスにとって大切な人間です。何とぞ、よろしくお願いします。

以下、募金サイトに添えられたフィル・エルヴラムからの言葉も訳出しておきます。下手な訳ですが、どうぞお読みいただけると幸いです。

https://www.gofundme.com/elverum

ジュヌヴィエーヴ・エルヴラムと彼女の家族が癌から逃れられるようお助けください。

 2015年の5月、健康で素晴らしい娘に生を授けて4か月後、ジュヌヴィエーヴはもはや手術不可能なステージ4のすい臓癌であると診断されてしまいました。34歳の若さで、健康にとても気をつかっていた彼女にとってはまさに青天の霹靂でした。以来、彼女は化学療法はじめ、さまざまな治療を試してきました。地平線に落ちる光の少しでも前向きな部分を見据えながら。

 この1年少々というもの、我々は地域と家族一丸となって子どもの世話と食事、後方支援と金策に当たってきました。保険は医療費の一撃から我々を守ってくれましたが(とても高額な自己負担分のあと)、保険の対象外となるその他多くの周辺的な費用は、ふたりが自営アーティスト/ミュージシャンとして爪に火をともすように何年もかけてゆっくりと貯めてきた蓄えを完全に食いつぶしてしまいました。さらに今や僕らには子どももいます。
 ジュヌヴィエーヴは、10代のころから前途有望なコミック作家でした。ジュヌヴィエーヴ・カストレイの名前で、彼女は「l’Oie de Cravan」「Drawn & Quarterly」「l’Apocalypse」といった出版社から多くの本を発行し、この地球のあちこちで個展を開催してきました。彼女はまた、ウォーヴ(Woelv)とオ・パン(Ô Paon)という名前で音楽をつくり、世界中をツアーし、たくさんのアルバムをリリースしています(www.opaon.ca)。

 これを書いている、私、彼女の夫であるフィル・エルヴラムも、音楽をつくり、約20年にわたり、ザ・マイクロフォンズとマウント・イアリの名前でツアーをしてきました(www.pwelverumandsun.com)。

私たちはまた、ワシントン州アナコーテスに12年間暮らすカップルとして、インディペンデントのアート/音楽の豊かな世界的コミュニティにおける特別な場所を守ってきました。ここに住みながら、さまざまなプロジェクトに携わりつつ、私たちはワット・ザ・ヘック・フェスティバル(後のアナコーテス・アンノウン・ミュージック・シリーズ)を10年間オーガナイズしてきました。

私たちは自分たち夫婦のプライベートについては今まであまり公にせず、いつもそのときそのときのプロジェクトに邁進してきました。ツアーとフェスティバル、その他の公共的な営みを通して、私たちは自分たちのとても尊い家庭を守ってきました。そして僕らが経験する困難は今、ぶくぶくと泡立っています。

 今まで、自分の病状を公にしないことで得られる精神的安定や、それによってジュヌヴィエーヴにもたらされる心的ヴァイブのことを考え、このようなアナウンスやリクエストをすることは避けてきましたが、さすがに私たちの経済的苦慮も一線を超えてしまいました。

 どうぞ私たちに寄付をお願いします。私たちの家にいる者は誰も、この1年以上働くことができずにいます。ジュヌヴィエーヴは新しい作品をつくることができず、私(フィル)も音楽をつくったり、演奏したりすることができません。人生のすべてが、この途方もない闘病に費やされています(さらにこの不完全なふたりで子どもを育てなければならないという過酷な現実もあるのです)。これからの未来に何が待ち受けているのか、そしてこの不安定な状態がいつまで続くのか想像もつきません。いずれにせよ、この1年間に私たちが費やした金額だけで、我々はひとつの家族として大きな経済的窮地に立たされています。

 どうぞご寄付をお願いします。そしてこの情報の拡散にご協力いただけますよう、よろしくお願い申しあげます。

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