キャルヴィン・ジョンソンの「困った」ライヴ・パフォーマンス

というわけで昨晩、キャルヴィン・ジョンソンはじめ、カール・ブラウ、テニスコーツ、二階堂和美、kabaddi kabaddi kabaddi kabaddiのライヴ(於:渋谷オ・ネスト)に行ってきましたが、これが凄かった。残念ながらトップのkabaddi×4には間に合わず、テニスコーツのスタートにギリギリ滑りこめたわけですが、なんといっても──何故だか分からないし、季節はずれだけどさやさんの歌を聞くと「天高く馬肥ゆる秋」っていう慣用句を思い浮かべてしまうテニスコーツ、ボイスのループでリズムをつくったり、工夫と歌のバランスに唸らされたカール・ブラウ、そして、今回、2日連続で見る機会があって、それぞれの「開放」と「集中」が格別だったニカさんのうたも、もちろん素晴らしかったのですが──最後のキャルヴィンのパフォーマンス。これが、まるで何もない砂漠のなかにそびえ立つ特大のクエスチョン・マークを発見したかのようなライヴで、その雰囲気をひとことで言えば「困惑」とでもいうのか……。
ステージ上、ボーカル・マイクも使わずアコースティック・ギターを弾き語り、あの朗々とした低い歌声を響かせるキャルヴィン・ジョンソン。上の映像の曲「Sitting Alone At the Movie」では、ちょうど上の映像通りの振りつけを披露して、すると、あちこちからクスクス笑いが漏れ、ときには喝采さえ、といった場面もありましたが、観ている人のほとんどは全編、拍手をするのさえためらわれたり、もしくは途中で呆れてしまったり、それともニヤニヤと笑みを浮かべるしかなかったり、そんな感じだったと思います。なんだか個人的にはひどく考えこまされました。舞台上のキャルヴィンは変わらず無表情で、次々と奇妙な抑揚の曲を歌い続けていくだけ。ちょっと悲しそうな顔に見える瞬間さえあります。たとえば、ライヴの場での聴衆との活発なコミュニケーション、軽妙洒脱なやり取り、というような、良いライヴの場を成立させるための条件だと思われているようなものは、そこにはまったくありません。歌詞が理解できるかどうかで違うのかな、と、最初は思ってはみたものの、なんだかだんだんそういうことでもないんじゃないか、という気持ちになってきて、このライヴのような、ライヴじゃないようなものは一体何なのだ?と。ちょうど実験映画を観ているような気持ちにさえなってしまいました。何か反応を返すこと、その反応を引き出すために、何かを伝えようとすること。そういった土台までなくして、その上で宙ぶらりんの状態から関係(もしくは無関係)を築き上げる、とでも言うような? つか、そんなの考えすぎ? と、この堂々巡りは、とにかく、すごい衝撃的。そして、最後にはアンコールを求める観客の大きな拍手のなか、ギター・ケース片手に客席を突っ切って、脇目も振らずステージから物販テーブルへ一直線に行ってしまうキャルヴィン・ジョンソン(笑)。あらためて、Kレコーズの恐ろしさを思い知らされた一夜でした。これからまだまだ各地での公演が残っていますので、ぜひ観てみてください(スケジュールはこちら)。やっぱりキャルヴィン・ジョンソン、すごいです。

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