寒い寒い2002年の2月以来なので、実に12年ぶりにニキ・マックルーアが日本にやってきます。もともとは『Catch That Beat!』というファンジンを発行していた池田弥生さんに紹介してもらい、東京・代官山で小さな展示会を『map』として共催したのですが、もちろん絵の展示会を催すなんて初めてのこと、今から思えば随分と素人くさかっただろうなと照れくさく思います。今だって素人ですが、でも、その素人の最初の一歩がニキ・マックルーアだったことは自慢してもいいでしょう。
その後にはじめた『Sweet Dreams』の表紙はいつも彼女の切り絵で、2008年に発行した第2号ではニキ・マックルーアの大きな特集もつくりました。米ワシントン州オリンピアに暮らす町の芸術家。1996年にはじめた切り絵は、スリーター・キニーやザ・クラブス、スローンズといったバンドがリリースした作品のカバーを飾り、また、自身もとてもユニークな音楽家としてKレコーズより7インチ・シングルを2枚リリースしています。彼女の背景にはライオット・ガールという運動があって、また、クライムシンクというアナキストのコレクティブが発行する書籍の表紙を手がけるなど、今でも「政治的」であることを恐れていません。と同時にオリンピアの町のマンホールやパタゴニアのTシャツなど、人の目に多く触れる仕事も担い、また、彼女が毎年つくってきたカレンダーは数えきれないほどの部屋に飾られてきて、今ではちょっとした町の特産品と言えるぐらいです。
そのニキ・マックルーアの切り絵作品の個展『潮が満ちるまで〜Waiting for High Tide』が、東京・目白のブックギャラリー・ポポタムで開催されます。彼女の精緻な切り絵は、実物を見ると浮き上がっているところもあって、まるで立体作品のような面白みもあります。切り抜かれていてもすべてがつながっている。それはどこか僕らが目指しているものに似ていないでしょうか。
今回の作品展では新作切り絵や特製シルクスクリーン・プリントの販売だけでなく、カレンダーやTシャツ、絵本などの書籍、グリーティング・カードやステッカーといったオリンピアからの「特産品」も数々揃えました。ぜひ誰かを誘っていらっしゃってください。そうそう、初日は夕方からニキ・マックルーアとその夫のJT、大きくなった愛息のフィンくん、来日中の家族3人も会場にいるはずです。ささやかなレセプションを催しますのでどうぞお楽しみに!
ニキ・マックルーア個展『潮が満ちるまで〜Waiting for High Tide』
会場:東京・目白 ブックギャラリー・ポポタム(03-5952-0114)
東京都豊島区西池袋 2-15-17
会期:2014年10月3日(金)~10月7日(火)
時間:12:00~19:00 (初日は20:00まで。18:00よりレセプションあり)
定休日:会期中無休
入場料:無料
なお、今回の作品展は東京での展示のあと、和歌山県紀伊田辺市のいこら茶屋(10月16〜17日)、京都のトランスポップ・ギャラリー(10月23日〜11月9日)を巡回します。