The Watery Graves and Simple Machine’s Mechanic’s Guide

さて、先日、ジュヌヴィエーヴ・カストレイから届いたマーチャンダイズに入っていた1枚のCD。それは『The Watery Graves of Portland and/et. Genevieve』というタイトル通り、ウォータリー・グレイヴスというポートランドのバンドとジュヌヴィーエイヴ・カストレイのコラボ盤なわけですが、これがすこぶる良いのです。で、当然のように、ウォータリー・グレイヴスという初耳のバンドのことに興味がもくもくと湧いてきて……。まずは所属レーベル、マリッジ・レコーズのバンド紹介文を下に訳出してみます。簡単な紹介文ですが、しかし、なんて奮ってるバンドなんだろうと嬉しくなってしまったわけなのです。

「ウォータリー・グレイヴス・オブ・ポートランドは、ピアノのカーティス・ナップ(Curtis Knapp)、ブラシ使いのドラムにエイドリアン・オレンジ(Adrian Orange)、そして、アップライト・ベースのデイヴィス・リー・フッカー(Davis Lee Hooker)によって作られた、サウンドとアトモスフィア(空気感)のことである。気まぐれな思案という点ではサティにも似た音楽であり、ある種の「オールド・スクールな」器楽即興ではあるが、もっと抑制が効いている。そして時に、バー・ルームでのラグタイムとも寄り添い、また、それは霊感に満ちたエレベイター・ミュージックであり、映画的でリズミックな家具音楽でもある。彼らのライヴ・コンサートでは、切手が貼られた封筒や文具が無料で配られ、愛する人へ、そして/もしくは、その音楽についてバンドへ手紙を出すことを観客に促している」。

その嬉しさというのは、ちょっとした偶然や連想がいくつか重なっていたことからきているのかもしれません。まず、彼らのことを形容するのに「霊感に満ちたエレベイター・ミュージック」とあって、これが、現在、リリース準備中のBEST MUSIC作品『MUSIC FOR SUPERMARKET』と対を成すように思えたからなのです。ウォータリー・グレイヴスのそれは言うなれば幻視的ミューザックですが、だとしたらBEST MUSICのそれは……? それから、彼らがライヴで切手付きの封筒を配っているという一節。実は、これまた現在発行準備中の『Sweet Dreams』に、ポストカードを封入することを予定していたのです。それは、ワシントンDCにおいてはディスコードの妹分的な存在だった、大好きなインディペンデント・レーベル、シンプル・マシーンズが発行していた『Mechanic’s Guide』というレーベル運営/音源リリースについてのハウツー小冊子があって、そこでは、ヴァイナルやCDのプレスの仕方、クールなジャケットを作るためのコツ、著作権の説明、自分が作ったものを売るということ……などなど、とても分かりやすく、独立して音楽作品を出すことのプロセスが解説されているのですが、その最終段落のひとつ前を、彼女たち──ジェニー・トゥーメイとクリスティン・トムソン──がこんなトピックで結んでいることに影響を受けてのことなのです。

「あなたが一緒に働く人たちが、まず人間であることを忘れないように。もし、あなたがビジネス仲間に自分のプロジェクトに対して特別な注意を払ってもらいたいのなら、手紙を添えずに命令だけよこすようなことをしてはなりません。私たちのところにも、用件だけが書かれたたくさんのメールが届きます。そのような場合、私たちはモノを送ってそれでおしまい。フレンドリーな関係になれるかもしれないのに、これでは、私たちのビジネスへの相互作用みたいなものは減っていくばかりです。別に、特別なことを書かない人を批判するわけではありません。ただ、コミュニケーションを取ろうと踏み出して私たちの注意をひきつけた人のことを覚えていたり、そういう人たちへの返事が早くなったりするのは自然なことでしょう? これは生きていくことを学んでいくレッスンでもあるのです。もし、私書箱を通してやり取りをしている人たちの頭の中であっても、あなたがひとりの実在する人間となれば、彼らだって、ひとりの人間としてあなたと付き合おうと感じるようになるでしょう。私たちは、7インチのマスタリングを受け取りに行く時には、Kディスクさんへのお礼に自家製クッキーの箱を持っていきます。そして、クリスティンは、レオパルド・ゲッコ・レコーズのジョン・アトキンスには、ピーナッツ・バターとジェリー・サンドイッチ──敬愛と友情の最高の証──を送った人物として、いつまでも覚えられていることでしょう。レコードを送り出す時には、手紙も添えること。または、あなたがクールなことをしていると思っているバンドやレーベルには、そう伝える言葉を添える時間を惜しまないことです」。

さて、僕が嬉しくなったのは、これで分かってもらえるでしょうか? 他愛もない連想にしか過ぎないかもしれませんが、もしかしたらどれも「同じ」ことなのかもしれないのです。

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