それでは予告どおり、アイダというバンドを取り巻くグラフィック・アーティスト3人をご紹介します。まずはそのひとり目。今回、本をつくるうえではじめて知ったんですが、アイダの過去のアルバム作品を彩ってきたあのロゴ(上の画像:頭文字が大文字で、かすれたような線のエレガントなヤツ)って、ブライアン・セルズニックなる人がデザインしていたんですね。彼は、アイダのエリザベス・ミッチェルが通っていた(つまり、リサ・ローブも通っていて、ふたりでリズ・アンド・リサなるユニットを組んでいた)ブラウン大学にもほど近いロード・アイランド・スクール・オブ・デザインに通い、卒業後は絵本作家・イラストレーターとして活躍されている人。
これを機会に、邦訳されていた最新刊『ユゴーの不思議な発明』(アスペクト)ってのを手に入れて読んでみたんですが、最初こそその厚さに恐れをなしたものの(500ページ超)、ちびた鉛筆でカリカリと描いたような精緻なイラストとお話にあっけないほどすぐに読了。出版社の宣伝文句には「ハリー・ポッターにうんざりしているやつはこれを読め!」と威勢の良い言葉が並んでいますが、『ハリー・ポッター』を読んだことない自分でも素直に楽しめました。さらに、本書はコールデコット賞(アメリカ図書館協会が創設したアメリカ初の絵本賞)金賞はじめ多くの賞を獲得し、今後、マーティン・スコセッシが監督して映画化も決定しているとか。ともあれ、フランス映画草創期に活躍したジョルジュ・メリエスという実在のプロデューサーを登場させた虚実入り混じりのストーリーと、20世紀初頭のファンタジックなムードが混じりあう『ユゴーの不思議な発明』、ぜひ、ご興味ある方はご一読を。
ちなみに、アイダのあのロゴには別バージョンがあること(7インチ・シングルなどでは数度使われている)や、リズが大学時代演劇をしていて、ルー・リードの「ワイルド・サイドを歩け」を下敷きにした芝居で娼婦役(!)をしていたことなど、現在制作中の『勇猛果敢なアイダのものがたり』(あ、こういう書名になりました!)に楽しいエピソードを披露してくれています。秘蔵写真もいくつか送ってもらいましたので、お楽しみに。