かわのかみしも

東西に長い鳥取県の中ほどに、倉吉という美しい古い町が残っています。中心には打吹山(うつぶきやま)という天女伝説がある可愛らしい山、その麓には白壁の蔵が並ぶ赤瓦の家並み。みなが愛する三色の小さな串団子。美味い! その町の商店街の一角で親戚が荒物店をやっていたので何度か訪れたことはありましたが、この歳になってあらためて足を踏み入れると「あぁ、いいところだなぁ」としみじみと感じます。ちなみに「倉吉のイーノ」の異名をとったのはボルゾイのシバタ氏、彼のシンセサイザが今でも町のどこかに埋もれていて、小さな音を立てているのかもしれません。

 さて、立川の砂川七番でギャラリー・セプチマを運営している波田野州平くんと知り合ったのは今から7年前のこと、彼もまた倉吉の出身で、地元で開催するイベントに『Sweet Dreams』を置かせてもらえないかという相談がきっかけでした。そのイベントには上述したシバタやAsunaボルゾイタナカといった裏日本のスーパースターが軒並み参加、波田野くんのワークショップを含め、大いに賑わったそうです。

 その後、さまざまと豊かで愉快な時間を一緒に過ごし、ことし波田野くんは鳥取藝住祭という鳥取県の地域活性化事業にディレクターとして関わることになります。その鳥取藝住祭、要は県内各地で作家や美術家が住んで作品を制作したり発表する、いわゆるアーティスト・イン・レジデンスのプロジェクトなのですが、彼が担当する倉吉市内小鴨川沿いの2地区、関金(かみ)と小鴨(しも)での活動をまとめて特に「かわのかみしも」と名付け、これからイベントの企画や作品の展示、制作、流通に乗り出すことになりました。

 というわけで前置きが長くなりましたが、まずはその最初のイベントが決定しました。概要は下記をご覧いただくとして、スウィート・ドリームス・プレスもあれこれと協力させていただくことになりましたので何とぞお見知りおきのほどを。倉吉のみならず、鳥取のみならず、さらに山陰のみならず、もちろん西日本のみならず、ぜひ倉吉の町の散策がてらお越しいただければ幸いです。空港や新幹線の駅や高速自動車道から少し離れてみるだけで、こんなに美しいものが壊されないで済んだのだ、ということがきっとよくわかるんじゃないかなと思っています。

 なお、倉吉までは鳥取空港から空港バスで45分、もしくは米子空港から同じくバスで90分。ようやく着いたJR倉吉駅から会場まではバスかタクシーをご利用いただくことになります。近くには三朝温泉関金温泉といった屈指の名湯もありますし、せっかくなので一泊されてもよいかもしれません。心よりお待ちしております。

かわのかみしも 〜下祭〜
10月10日(土)倉吉 まちかどステーション
(鳥取県倉吉市大正町1067-29)
*会場が旧仲倉医院より変更になりました。ご注意ください。
出演:二階堂和美、attc vs Koharu
出店:夜長茶廊BAR思考する庭食堂カルンボルゾイレコード
時間:開場4:00pm/開演5:00pm
料金:3,000円(前売り)/3,500円(当日)/高校生以下無料(要学生証)
予約:波田野州平(090−9501−3070|kawanokamishimo@gmail.com
*ご予約の際にはお名前と枚数をお伝え下さい。
チケット取扱:夜長茶廊(倉吉)、たみ(松崎)、ボルゾイレコード(鳥取)、食堂カルン(鳥取)、めがねのスエツグ(米子)、きっちんピノキオ(米子)
*新会場のチケットにつきましては9月24日(木)より上記取扱店にてあらためて発売を始めます。なお、旧会場についてのチケットをご購入された方は、そのまま当日会場までお越し下さればご入場いただけます。もしくは、チケットをご購入の店舗におきまして、古いチケットと新しいチケットをお取り替え致します。
駐車場:会場隣接の専用駐車場
企画:かわのかみしも

二階堂和美(にかいどう・かずみ):1974年、広島県生まれ。高校時代からバンド活動を開始、1997年からシンガー・ソングライターとしてのキャリアをスタートさせる。これまでに単独作として12作品をリリース。全曲を作詞作曲した2011年発表のオリジナル・アルバム『にじみ』がきっかけとなりスタジオジブリ映画『かぐや姫の物語』の主題歌へ起用されるなど、広く知られるところとなる。
 近年は地元・広島県大竹市の学園歌の制作、同市のイメージソングを制作するなど地域に密着した活動も展開している。この春夏、地元のテレビ局が展開する「RCC 被爆70 年プロジェクト『未来へ』」へテーマソング「伝える花」を提供、シングルとして発表する。中国新聞ではエッセイ「負うて抱えて」を連載中(毎週月曜日「洗心(せんしん)」ページにて)。著書に『しゃべったり書いたり』(2011年/編集室屋上)がある。

attc vs Koharu:ジャマイカ産のバージョン(B面インスト)の魅力を伝えるべく、ミニマルかつグルーヴィーな演奏に徹して現在に至る、Amephone’s attc。小唄・端唄界の最後のイノベーター、柳家小春師匠。カリビアン・シンコペーションと江戸風俗の軽やかな遊びと。齟齬を隠さず、パラレルに進行するリズムの夢。ハイブリットという現実。乞う! ご期待。

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