もうリリースから1ヶ月が経ってしまったので、「もう手に入れてるもんね!」という方もいらっしゃるでしょうが、ウォーヴ(Woelv)ことジュヌヴィエーヴ・カストレイのニュー・アルバム『Tout Seul dans la Foret en Plein Jour, Avez-Vous Peur?』の仕様がとっても素晴らしいのでご紹介。タイトルは「そんな日に森でひとりぼっちだなんて怖くない?」なる意味のフランス語とのことで、LPバージョンに付属されるレコードと同サイズの大型イラストブック(計60ページ!)には、あの精緻なイラストの周りに、言葉を大切にしている彼女らしく、収録曲の歌詞がアラビア語、バスク語、韓国語、デンマーク語、スペイン語、ヘブライ語、日本語、マンダリン語、ノルウェイ語、ロシア語、セルビア語、ウルドゥ語に訳されてレイアウトされている、という趣向。ちなみに、日本語の訳を担当したのは、『スウィート・ドリームス』第1号に写真と原稿を寄稿してくれたセスとアヤのハイ夫妻(と書くと変かもしれませんが、いや、ホントに「ハイ(High)」って姓なんですよ)。CDだと簡略化されたブックレットになるらしく、ここはひとつ多少値が張りますが(リリース元のKレコーズでの売価は30米ドル)、このLPバージョンをお奨めいたします。もちろん、音楽の方も、2000年からギターを独学で身につけ、曲を作り始めたというのが信じられないくらいの堂々たる仕上がり。しかし、ここは何よりも、彼女が音楽と絵で提示するシリアスなストーリー、政治性を受け止めるのが先決でしょう。たとえば、イラストブックの最後の方に、こんな文章が引用されているのです。
ミリアム・K・スペンサーは81歳。彼女は1945年に修道女となり、ワシントン州にある広大な地所で、25人の修道女たちと暮らしている。ミリアム・K・スペンサーは、多くの時間を米国議会への陳情書や、正義を求めるさまざまな人たちへ差し出す手紙を書くことに割いてきた。彼女は、それがいまの自分にできる主な仕事だと言う。
「自分が参加した最初の抗議行動について覚えていますか?」
「ええ。1982年、わたしは全国各地からワシントンDCへ向かった約30人の修道女たちの中にいました。それは、わたしたちの言うところのコミュニティ・イクスペリアンス・プログラムが目的で、期間は2ヶ月に渡りました。わたしたちは貧困にあえぐ人たちと共にあり、毎日、スーパーで販売を見合わせた傷物の野菜を使ってスープを作っていました。それを夜、長い長い列に並ぶお腹を空かせた人たちへ配っていたのです。ある日、わたしはペンタゴンに行きました。そこでは軍のバザールをやっていたのですが、わたしたちは座りこんで入口を封鎖したのです。最終的にわたしたちは逮捕され、手錠をかけられ、取調室の中で指紋をとられ、写真を撮られました。翌日、わたしたちは判事の前に連れていかれ、刑に処せられることはなかったのですが、これが、わたしにとってはじめての抗議行動でした」。
と、この後も、インタビューのやり取りが続くのですが、続きは、またいつかご紹介しましょう。そういえば、米大統領予備選ではアイオワ州に続き、ニュー・ハンプシャー州でも民主党はオバマ候補が優勢とのこと。昨年、ジョアンナ・ニューサムを「map」が招聘した際、ドラマーとして帯同していたニール・モーガンも、先日、アイオワ入りし、オバマ氏のサポートに勤しんだとか。この後、どうなるかは分かりませんが、『スウィート・ドリームス』第2号で、彼にこの予備選の模様をレポートしてもらう予定ですので、どうぞご期待ください!