旧グッゲンハイム邸でライブ後の打ち上げから。撮影は前垣克明(ボルゾイ・レコード)。
「ハウ・メニー? グラスゴー!」っていう合い言葉がちょっとウケた。
「コンコンコン…」とノックの音。ハッとして時計を見ると朝の6時。「うわ! やっちゃった!」。前日、別れるときの打ち合わせでは5時30分にモーニング・コール(のサービスはこのホテルではやってないらしいから、部屋まで起こしに行こうと思っていた)をして、それから6時にロビーに集合、タクシーで三ノ宮の駅まで行って6時35分発の伊丹空港行きのリムジンバスに乗ることにしてたのでした。
前日に旧グッゲンハイム邸でジャド・フェア&ノーマン・ブレイクとテニスコーツのジャパン・ツアーの千秋楽を終えて、せっかくだからと今回のツアーにビデオの撮影係として同行してくれた波田野州平くんとふたりで飲みに行ってホテルに戻ってきたのが3時だったか4時だったか、その後にツアーの収支計算をして、ふたりに渡す今回のギャラを用意したりしていたので寝たのは1時間前、それとも2時間前…。ともかく全6公演盛況のうちに終わったことからついつい気が緩んでしまったのかもしれないし、まあ、普通起きられないよね、と自分をなぐさめつつ。
とまれ、大急ぎで支度をしてロビーへ降りると、ジャドさんノーマンさんすっかり準備万端で待ち構えていて、ノーマンはいつものようにニコニコと、ジャドは時間が気にかかるのか不安そうな面持ちで握手の手を差し出してくれる。「おはよう。ノックしたの分かった? ノリオの部屋じゃなかったらどうしようって悩んだんだけど」。早速タクシーを呼んでホッとひと安心、バスに乗りさえすればゆっくりできるだろう。とにかく眠い。ちょっと休みたい。ホテルの前で波田野くんとお別れしてタクシーに乗り込む。
この数日間ずっとそうだったように、この日もよく晴れて気持ちのいい天気だった。高速道路に乗ったバスがグイグイグングン進んで行く。ふたりに今回のツアーのギャラや昨日の物販の売上金を渡したり、立て替えておいてもらったお金を清算したりしていると、さらにふたりともすごくすがすがしい顔になってきた。朝日を浴びてジャドさん、とても嬉しそうに手を差し出して握手を求めてくる。いやいや、こちらこそ光栄です。空港に着くまでの間に少しは眠れるかなと思っていたけど、こちらも何とも言えない気持ちがこみ上げて…。
そういえば、2年前のジャド・フェアとテニスコーツのツアーの最後も同じように天気のいい日曜日で、同じように三ノ宮の駅から早朝のバスに乗ったのだった。そのときは帰国する飛行機が成田から無事に飛んでくれるのかどうか、とにかくジャドが不安がって3時間も前に伊丹空港に着いてまんじりともしない時間をふたりで過ごしたのだったけど(そのときのことは少しここに書きました)、もう初夏のように爽やかな今回の日曜日はとても前向きな日曜日だった。いいツアーだったなぁ。
大城真くんのスタジオでレコーディングを終えた3人をパチリ!
さて、4月20日にル・トン・ミテのマクラウド・ズィクミューズとアン・ブルーニを成田空港に迎えにいってから約1カ月、そのツアーの最初の何公演かに同行したり、ついでにその足で山陰の実家に寄ったり、はたまた町田・簗田寺の「はるでら」もあったし(さすがに出演者7組はテンパりました。すみません)、間にフジワラサトシくんの『い、のる』とレイチェル・ダッド with
ICHIの『In Our Hands We’ve GotLight』のリリースもあったりして、最初はどうなることかと思っていたけど終わってみれば意外になんとかなった、のかな。でも周りの方には多いにご迷惑をかけていると思います。どうもすみません。本当にすみません。
異常な盛り上がりを見せたル・トン・ミテの鳥取ボルゾイ・レコード公演
というわけで、次は7月中にフジワラサトシくんのアルバム『い、のる』のリリース・パーティーを東京のどこかで、また、7月下旬で調整しているライアン・フランチェスコーニ&ミラバイ・パートの来日ツアーのことも近日中にお知らせできると思います。それに来日中にジャド・フェアとノーマン・ブレイクがテニスコーツと一緒にレコーディングした作品もテニスコーツのふたりと大城真くんの3人でミックス作業を開始したとのことだし、夏の終わりには三富栄治くん(!)のニュー・アルバムもお届けできるんじゃないかなと思っています。
2年前のツアーのときはジャドとは別便で東京・羽田空港へ、今回はひとり三ノ宮からスーパーはくとに乗って鳥取へ一日だけ羽を伸ばしに(前日もグ邸で手伝ってくれたボルゾイ・レコードの前垣くんどうもありがとう! あー、楽しかった)。さてと、まだまだいろいろありますね。そういえば、ジャドさんノーマンさんと空港でお別れをして三ノ宮に戻ってくると、その日は神戸まつりの日ということでそろそろパレードが出発するころで、交通整理のおじさんも楽しそうに「パレードの先頭はディズニーランドからミッキーマウスが来ます!」って説明してたなー。と、こうして祭りの始まりにツアーは終わり、皆さん、どうもお疲れさまでした。関わっていただいたすべての人に感謝しています。ただ、今でも例えばテニスコーツの「違相」が頭の中の大きな部分を支配してるので、今回のツアー、まだまだ終わってないようです。「好みと違う 望みと違う 好みと違う 望みと違う おもしろいじゃない おもしろいじゃない…」。
2013年の「はるでら」も天気に恵まれて、このように賑賑と終了しました。
どうもありがとうございました! 撮影:三田村亮