すっかり東京は春めいてきました。気持ちの良い季節です。さて、あと1ヶ月後に迫ってきましたタラ・ジェイン・オニール ジャパン・ツアー2008ですが、今回は名古屋・松本・東京・町田の4公演に出演するセラフィナ・スティアをご紹介しましょう。彼女はロンドン生まれの25歳。というわけで、ハープの弾き語りということでどうしても比較されてしまうジョアンナ・ニューサムとも、ほぼ同年代と言ってよいでしょうが、幼少のころからハープを手にしたジョアンナ同様、彼女もまた15歳からハープをはじめ、ロンドンのトリニティー音楽大学を主席で卒業しているとのことなので、それだけでも、彼女にとってのハープの弾き語りというスタイルが一朝一夕に作り上げられたわけではないことが分かるでしょう。陳腐なたとえを弄するなら、ジョアンナが野原を飛び回る妖精だとすれば、彼女は炉端でページをめくる落ち着いたイギリス人女性、とか? うーむ、我ながらひどい……。とにかく、昨年リリースされたファースト・アルバム『Cheap Demo Bad Science』(Static Caravan / Yacca)を聴いてみれば、タン(Tunng)のマイク・リンゼイやキャピトルK(クレイグ・ロビンソン)が共同プロデューサーとして名を連ねていることからも予想されるような楽曲毎の色彩の幅広さや、イーノの「By This River」やホーギー・カーマイケルの「I Get Along Without You Very Well」をカバーしていることも含め、例のフリー・フォーク云々よりも、ペンギン・カフェ・オーケストラ、シュリアン・オーファン、ヴァージニア・アストレイやディヴァイン&スタットンなど、モダンなパストラル・ポップの文脈に浮かばせたいセンスこそ彼女の持ち味と言えそうです。となると、清楚でアカデミックなシンガー・ソングライター像を思い浮かべてしまうかもしれませんが、面白いのが彼女、東ロンドン=ハックニーでスクウォッターだったらしく、そういう、華々しい経歴とは裏腹の部分がまた魅力かもしれません。また、彼女は、ジャイルス・ピーターソンの新レーベル、ブラウンズウッドからデビューしたザ・ヘリテイジ・オーケストラにも参加するなど、新進気鋭のハープ奏者として大きな注目を集めているので、ぜひその実力をご堪能ください。なお、今回のツアーでは、東京公演を除く3公演(名古屋・松本・町田)の演奏は、持参したキーボードとミニ・ハープによるパフォーマンス。4月4日(金)の渋谷オ・ネスト公演のみ、グランド・ハープによるパフォーマンスとなりますので、可能であれば両方それぞれのスタイルを味わってみるのも一興かと。また、タラ・ジェイン・オニールのツアー終了後も、以下の2公演が追加決定してますので何とぞ。レイチェル・ダッド、フロレンシア・ルイスとの共演なんて「!」もありますよ。
4月6日(日)奈良 cafe sample
出演:セラフィナ・ステア、motohiro nakashima
開場 5:30pm/開演 6:00pm
チケット:前売り/当日 2,000円(1drink)
問い合わせ:pastel records(0742-26-6955)
flau x yacca presents “little things”
4月13日(日)渋谷seco
出演:レイチェル・ダッド、セラフィナ・ステア、Cokiyu、moom瑠 from Smile Down Upon Us、PoPoyans
スペシャル・ゲスト: フロレンシア・ルイス
開場 5:00pm/開演 5:30pm
チケット: 前売り 2,500円 (w/ 1drink )/当日 3,000円 (w/ 1drink)
チケット予約:event@flau.jp